(1)原生林
人には、それぞれ、とっておきのお気に入りの場所というのがあるのではないでしょうか。この写真に写っているところもそんな場所の一つで、私が大好きな所です。富士山の二合目から三合目あたりにかけての原生林の中なのですが、朝霧で行う長期キャンプの終盤にこどもたちと一緒にキャンプ場から片道10キロ以上の道のりを歩いて野宿に行く途中ここを通ります。下見の時などは、ここで、野生の鹿の群れに出会ったりもしたこともありました。
原生林とか広葉樹の森というのは不思議と人のこころばかりか、疲れた体をも癒す効果があるようです。ここまでくると野宿のポイントももうすぐそこで、スタッフも子どもたちもホット一息つく地点です。すごく苦しかったり、つらかったり、楽しかったりといった感情体験をともなった場所というのは、生涯記憶の中に生き続けるようですし、第二のこころのふるさとなどと呼ばれることになったりします。
そういえば、富士山を世界文化遺産にしようという動きがあるようです。文化という言葉にはもともと、人々の精神作用の結果生まれ出てきたものといった意味もありますから、そういう意味では、富士山は日本人のこころや精神作用の象徴のような山でもあります。
こどもたちには、野宿体験の記憶とともに、このような富士の原生林の様子が記憶に残り、将来富士山はもとより、日本の山や川、日本的な風土や文化に愛着を持ってくれればと願っています。
(2007.04)
(2)山
今年のゴールデンウィークでの主催事業「ちょっといい春感じませんか」でハイキングに出かけたときの一コマです。国道139号線をちょっと入ったあたりから富士山を眺めた時の風景です。いかにも日本的な情景に見えましたので思わず写真に収めました。
富士山もそうですが、日本の各地にある山というのは、やっぱり、人の心に何かを訴える不思議な力を持っているようです。特定の山や深い川の淵、太く大きな樹木、巨岩など、私たち日本人が長い間受け継いできた自然を敬う気持ちやそれらを大事にしていく気持ちは世界に誇れる日本文化だと思います。
(2007.05)
(11) 陣馬の滝
田貫湖から南側に下っていくと芝川にかかっている橋が見えてきます。田貫橋です。ここは橋の横から河原に降りる事ができるので、大学生などのハイキングの時には、この橋桁の下の河原に降りて顔を洗ったり、腰を下ろしてお弁当を食べたり、また、昼食後は、靴下をぬいで裸足になり、疲れた足を川の水に浸したりして遊びます。とてもくつろぐことができる場所で、私のお気に入りの場所になっています。釣りをする人たちもよくこの橋のたもとあたりから始めて、上流に向かってつり登っていくようで、釣りに良さそうな流れと小さな淵が、ずっと上流まで続いています。(写真は田貫橋の下流です)
(2009.10)
(12) 松下牧場さん
朝霧高原一帯にはたくさんの牧場があり、野外活動センターではこれらの牧場と連携し、牧場体験プログラムも提供しています。朝霧野外活動センターと隣接している一番近い牧場が松下牧場さんです。ここでは、牛の世話や乳搾り、バターづくりなどのプログラムを体験することができます。しかし、プログラム体験もさることながら、一番のおすすめは、牧場主の松下さん本人から聞く「牛たちの生きる話」や「いのちを食べる」話です。酪農のプロとして直接現場で牛とかかわり、牛と一緒に暮らしている松下さんの話は、さすがに分かりやすく、なおかつ心にしみる内容なので、子どもたちばかりか大学生でさえも、いつも真剣に聞き入っています。松下さんの自宅庭先の草地に皆で腰をおろし、手作りしたバターの味をかみしめつつ、いのちのつながりに思いを馳せてみるのも、とても味わい深い時間の使い方だろうと思います。少し離れたデイリーランド牧場さんでも同じように牧場体験が楽しめます。みなさんも一度試してみてはいかがでしょうか。
(13)麓集落
朝霧野外活動センターと国道139号線を挟んだ反対側に麓集落があります。毛無山への登山口になっているところです。その集落の入り口に麓山の家があります。近くには東海自然歩道や整備された清潔なトイレもあり、絶好の休憩ポイントにもなっています。以前ここには、麓小学校というほんとに小さな村の木造小学校がありました。いまの山の家はその小学校跡地です。武田信玄の時代にはこの麓集落の奥の沢、それこそ今でもかなやま(金山)沢という名前の沢には金山があったそうで、麓の林業家、竹川さんの家はその金山奉行の末裔だと言われています。その竹川さんが運営されています「ふもとっぱらキャンプ場」では、今も砂金掘りプログラムが提供され、鉱山があった当時の名残を残しています。