教育目標は、朝霧野外活動センターの利用主体である青少年を対象に、次のとおりとする。

(1)感性や知的好奇心を育む
 野外教育の最大の特徴は、自然の中で、自然を活用して様々な活動が行われる点にある。自然は、自然そのものが教育力を持っているといわれ、自然の美しさ、雄大さ、神秘性、厳しさなど、直接人間の五感に働きかけ、人々に感動や驚きを与える。野外での活動におけるこうした感動や驚きの体験により、青少年の感性を育み、また、知的好奇心や探求心を育んでいく。

(2)自然の理解を深める
 自然の中では体験的活動をとおして、青少年は、動植物、水、土、気象などに関する知識やその関連性、さらにはその重要性を学ぶことができる。こうした自然に対する理解は、日常生活における環境保全や自然愛護への積極的な態度を培い、今日問題となっている地球規模の環境問題への認識を高める。さらには、生物としての人間の内的しくみや生命の尊さを学ぶ。

(3)創造性や向上心、物を大切にする心を育てる
 野外での活動は、非日常的な自然の中での素朴な生活や活動が伴う。物質的な豊かさや便利さの中で暮らす青少年にとって、こうした生活や活動は、不便なものであり、時には苦痛を感じることもある。しかし、このような環境の下での困難を乗り越える体験は、青少年に成就感や達成感をもたらし、向上心や忍耐力を培うことになる。また、自然の中での簡素な生活は、水や火の大切さ、物を工夫して使うことの楽しさなど、創造性や物を大切にしようとする心を育てるとともに、素朴な生活の楽しさなどを実感する場ともなる。

(4)生き抜くための力を育てる
 青少年は、自然の中での様々な活動の実践・反復を通じて、知識や技術を単なる理解としてではなく、いわば生活の知恵として身に付ける。また、このような知恵は、災害などの緊急時において、生きぬくための力ともなる。さらに、自然の中での各種活動は、危険を回避したり、安全を確保したりする能力や、自らの安全は自らが守るという意識を高めることになる。

(5)自主性や協調性、社会性を育てる
 野外の活動では、一般的に小グループでの生活や活動が主体となる。こうした生活や活動では、自分のことは自分でする、仲間とよく相談し協力する。弱い者を助ける、と行った態度や行動が求められる。このような生活や活動の実践・反復を通じて、青少年の自主性や協調性、社会性を育成する。

(6)直接体験から学ぶ
 近年のめざましい情報化の進展は,人々の生活に豊かさをもたらしている。しかし、その一方で、子どもたちのテレビゲームへの没頭に見られるように、間接体験や疑似体験の増加など、情報化の「影」と言われる負の影響が生じており、今後は直接的な体験がますます必要となってくる。野外活動センターでは、こうした情報化の「影」の部分を補うため、青少年に様々な直接体験の機会を提供する。

(7)自己を発見し、余暇活動の楽しみ方を学ぶ
 野外で取り扱われる各種の体験活動は、青少年にとって新鮮であり、印象深い体験となることが多い。こうした新しい体験によって青少年は、これまで気がつかなかった自己の長所や短所を発見することができる。また、この時期の体験を通じて、生涯にわたって余暇活動を楽しむための新たな興味・関心を喚起し、健全で豊かなライフスタイルの形成について学ぶ。

(8)心身をリフレッシュし、健康・体力を維持増進する
 今日のような複雑な人間関係や時間に追われるゆとりのない生活から、自然の中に足を踏み入れると、時間的にも空間的にも、落ち着きや清々しさを感じることができる。こうした自然の中での生活や活動を通じて、青少年の心身をリフレッシュし、健康・体力の維持増進を図る。