あさぎり通信R-3 三つの光で三光鳥(サンコウチョウ)

 朝霧野外活動センター内にサンコウチョウが夏鳥として渡ってきました。キャンプ場でよく囀っています。時には駐車場周辺の林の中、ロータリーのブナや体育館脇のメタセコイヤの枝で、宝山裏のトイレあたりでも囀りますが、野鳥の池あたりで一番見かけます。「ホイ、ホイ、ホイ…」と心地よい鳴き声が周辺に響き渡ります。草刈り作業中でも、背中でホイホイと声がするので、すぐに振り返ってみますが、枝葉の向こうでなかなか見られません。

 2020年、所長就任と同時にコロナの影響で、5月いっぱいまで臨時休所になったので、双眼鏡とカメラを片手に誰もいないキャンプ場へ出かけ、野鳥観察を楽しみます。「クロツグミ」を中心に、目についた野鳥はすべてカメラに収めていました。(3年間の撮影の成果は本館棟2階廊下に掲示してあります。)その中で、「ホイホイホイ」という声が2・3度聞こえた気がしましたが、その年はそれっきりでした。

2021年ははっきりと鳴き声が聞こえ、「サンコウチョウがいる!」と確信しましたが、姿は見えません。しばらく注視していましたが、アカゲラのドラミングやクロツグミの囀りなどは聞こえますが、なかなか見ることができません。

 私がサンコウチョウを初めて見たのは、人穴小学校に新任校長として赴任したばかりの6月です。正門の木立の中で、聞きなれない鳥の囀りがします。校長室を抜け出し、鳴き声の下へそっと近づきますが、すぐに長い尾を持つ鳥がサッと東の林の方へ飛んで行ってしまいました。初めての出会いでしたが、「サンコウチョウだ!」と分かるシルエットで、当然囀りもインプットできました。

 それから10年、朝霧でこんなに頻繁にサンコウチョウが観察できるとは思いもよらないことでした。他所での環境が悪くなりセンターに飛来するようになったのか、センターの環境が居心地のよいものになってきたのか、はたまた個体数が増えたのか、人に慣れたのかわかりませんが、センター内で営巣し、繁殖してくれるのを願っています。

 2022年、出会いは突然やってきます。6/29、14:00、野鳥の池からD・Eサイト入口方面へ歩いていると、目の前を右から左へと横切る鳥がいました。林の中の木の枝にとまると「ホイホイホイ」と鳴きました。目を凝らし声の主を探すと、いました。心臓ドキドキ、「逃げるなよ!」と祈りながらカメラを向けると、ファインダーの中に目の周りの鮮やかなブルーが確認できました。息を止め、慎重にシャッターを押します。何枚か撮影すると、「ホイホイホイ」と鳴いてから、飛び去って行きました。すぐに画像確認、多少ピントが合っていませんが、サンコウチョウです。尾羽の長さからするとメスのようです。(右画像)その後、その年は鳴き声を耳にするくらいだけでした。しかし、2023年はオス、メスともに出会う回数が増え、目の前を長い尾羽をヒラヒラさせて飛んでいく姿も見かけるようになりました。そんな時に限ってカメラを持っていないんですね。

 サンコウチョウの※聞きなしは、「ツキ(月)・ヒ(日)・ホシ(星)・ホイホイホイ」です。ここから、三つの光(月・日・星)=サンコウチョウと呼ばれています。ツキ・ヒ・ホシと鳴いているかどうかわかりませんが、後に続く「ホイホイホイ」は心地よい響きで、4回~6回と続くこともあり、誰にでも聞き取れる鳴き声です。

↑県ホームページの画像

 静岡県では、このサンコウチョウを「県民鳥」として昭和39年に決定しました。
 県の調査(平成6~8年)では、
 中西部:標高の低い地域に集中、小笠山、浜名湖北側から天竜川、安倍川、大井川流域で確認しました。
 富士山麓:低地から標高1,000メートル以上まで広く分布し、愛鷹山にも多くいました。
 伊豆半島:海岸部分に分布しています。
 詳細は静岡県のホームページをご覧ください。

郊外や野外にお出かけの時は、バードリスニング(鳥の鳴き声に耳を傾ける)も楽しんでみてください。

※聞きなし=鳥や動物の鳴き声を人の言葉等に置き換えて覚えやすくしたもの。

      例:ウグイス「ホーホケキョ」、ホトトギス「特許許可局」など